愛と友情のおくりもの

「おお、室井帰ってたか」
「一倉?……なんだその段ボールは。お前の卑猥な本ならもう結構だぞ」
「んな昔のことよく覚えてんなぁ。あれどうした?」
「捨てた」
「酷いな。俺が結婚するからお前に譲ってやったのに。あれは俺のコレクションの中でも最も優れた……」
「いらないと言っただろう。で、それはなんだ」
「青島だ」
「……は?」
「だから、お前の大好きな青島だ」
「なっ……!一倉!青島に何をっ」
「声がでかいぞ室井。とりあえず家に入れてくれ。青島は重いんだよな」
「……っ」
「睨むな睨むな。ほら持て。客人に土産をいつまでも持たせるなんてマナー違反だぞ」
「誰が客だ!……ん?待て一倉」
「どうした」
「青島はこんなに軽くない」
「さあ、俺はあいつの体重知らないからなんとも言えないけどな。つまりお前らは最近騎乗位でやったことがある、と」
「……」
「特捜が立て続けに設置されてこんの忙しい年末にか。いーねぇ幸せで」
「うるさい。それでこれは何なのかいい加減に話してくれ」
「んー。お前が青島にメロメロだっていうのはよーく分かった。だがそのせいで観察力の低下が見られるな。お前は青島がこんな箱に詰められてるってマジで思ったのか?」
「……いや。でもお前ならやりかねないだろ」
「俺だったらお前にリボン付けて贈ってやるから心配するなよ。――これはな、青島だ」
「青島じゃないんだろ?」
「お前はバカか。青島ってのは何もお前の大好きな青島俊作だけじゃないんだぞ」
「……」
「開けてみろよ」
「――これは……?」
「分からない、とか言うなよ」
「いや。……俺にはみかん、に見えるんだが」
「正解。よかったな室井。青島が可愛く見えても視力は正常だ」
「青島は可愛い」
「胸張って言うな。ほら、これ見ろ」
「……青島みかん?」
「そ。今日妻と買い物に行ったらこれが売っててな。室井が喜ぶと言ったら持っていけと言ってくれたんだ。うちの妻からの愛が籠ってんだから喜べよ」
「……奥方にお礼を伝えておいてくれ」
「俺にはないのか?」
「あんなこと言ってお前は礼を求めるのか?」
「お前なぁ……。相変わらず冗談が通じないヤツだ。まあ、青島が来なくて寂しいときは」
「?」
「青島でも、食っとけ」
「なっ……!」
「スジ残すなよ。あれに一番栄養があるんだから。せっかくだから青島を隅々まで食ってやれ」
「ふざけるな一倉!くそっ……大体、こんな数のみかん、ひとりで食えるかっ」
「青島だと思えば簡単だ。お前ならできるぞ室井。『室井さんは俺が信じた男ですから』だろ?――じゃあな。また来て青島を食うの手伝ってやるから」
「お前がそれを言うな!ついでにもう二度と来るなっ!」

***
バカふたり。バカな室井さんを書きたかった。元ネタはうちに来た「青島みかん」と私の「青島食べようっと」という言葉でした。つまり実話です。おばさんありがとう!
一倉さんは愛妻家です。一倉さんの奥方はこんな男の友達をしているなんて室井さんはいい人ね!と思ってるので(何気に酷い)、室井さんに友好的です。