さくらいろのキャンバス

オドルdeハチクロ。別にハチクロに大した意味はない。でもハチクロなんだから全員片思いだよね!というわけで……。
江里子さん←室井さん←青島くん
というオヤクソクな展開。そして微妙にハチクロ風味。

青島くん→油絵科8年生。天才なのにどこかへ行ってそのまま留年……というパターンを毎年繰り返してればいい。室井さんと一緒の大学にいたいがための姑息な手段(笑)室井先生は義兄で江里子さんは実姉。初恋兼片思いの相手は室井さん限定。「兄さん」と呼べずにずっと「室井さん」と呼んでいればいいよ。室井さんが兄として自分を構うのが嫌だけど嬉しい複雑な心境。26歳。

室井さん→講師。美術史専門。真面目な性格で生徒に慕われているはず。青島くんは義弟で、死別した江里子さんを今でも一途に思い続けている。そのため青島くんを幸せにしなきゃという謎の義務感があり、何かと世話を焼けばいい。室井さんは俊作って呼べば萌えます。32歳。



 根元から眺める桜の花が好きだ。視界すべてが桜色に染まることも、花びらの一枚一枚に命があることもわかるから。そう言ったら、彼は不思議な顔をして「君は詩人のほうが向いてるんじゃないか」と青島の頭を軽くはたいた。残った桜の花弁が数枚さらさらと落ちて、今度は灰色のキャンバスに色を付ける。
「てか、すいません。今年も留年しちゃいました」
「……お前の卒制の催促を、今年も俺は散々受けたんだぞ。で、どこに行ってきたんだ」
「えーと、吉野の桜を見てきました。あ、ちゃんと絵も描いたんすよ。見ます?」
「『見ます?』じゃない!絵があるなら卒制に出してさっさと卒業してくれ頼むから」
「んな心配しなくても。今年はちゃんと卒業しますよ」
「当たり前だ。大体今年留年したら除籍だってこと肝に命じとけ」
「はーい」
 別に青島にとって学校を卒業することに大した意味は持たなかったが、おざなりに返事をした。とりあえず絵のほかにもデザインにも秀でていると自負しているし、職に困らない程度の人脈もある。でも心配されるのは悪い気がしないから、嬉しくて笑顔になってしまった。
 そして怒ったわりに室井は青島の絵を見についてきた。青島の才能を開花させ、なおかつそれを一番認めているのは室井だから、当然と言えば当然だが。だから、青島にとっての「絵」とは他の誰よりも大切で、重要な意味を持っている。大学を留年したって、絵に対しては絶対に手を抜かない。
「これです。ちょっと抽象画っぽくなっちゃいました」
 キャンバスは加減の違う桃色に染まり、空と混ざった普通とは違う桜が描かれている。室井がそっと口許を緩めたのを見て、春が来るような嬉しさを感じる。
「――いいな」
「でしょ?」
「これがお前の卒制になればもっとよかったのにな」
 青島は顔をしかめた。
「意外としつこいっすよね室井さんて。でもま今年はもっといいもの作りますんで心配しないでください」
 あなたが喜んでくれるならいつだって、どんなものだって作りますけどね。心の中で呟いた。
 結局青島の世界の中心は室井なのだ。小さい頃から、ずっとずっと。
「楽しみにしてる。今年は消えたりするなよ」
「しませんよ。さすがに身内が卒業できないとなると室井さんもマズいでしょ」
 彼にだって体面がある。曲がりなりともここの講師なのだ。まさか身内が除籍なんてことになったら迷惑を被る(というか恥をかく)にちがいない。そうでなくても油絵画の教授が自分を留学させようと圧力をかけているらしいし。
 そういう意味で笑うと、室井はほんの少しむっとして(青島は室井のどんな表情でも見破ることができる)、青島を見つめた。
「室井さん?」
「……お前がいないと、飯がまずい」
 意味がわからない。青島は首を傾げた。
「はぁ?室井さん料理俺よりも上手いじゃん」
「いや、そうじゃない。――ひとりより、ふたりのほうがいいだろ。だから今年はちゃんと毎日家帰ってこい、俊作」
 ぽんと頭を一撫ですると、室井は身内にしか見せない柔らかな表情で部屋から出ていった。
「あれで無意識なんて詐欺だ……」
 残された青島は耳まで赤くしながらキャンバスの前にしゃがみこむ。名前を呼ばれたのも久しぶりで、心臓はばくばく言っている。でも、そんな自分を青島は嫌悪する。室井は自分の姉のものなのだ。きっとこの先も、ずっと。
「そろそろ室井さんからも卒業しないとなー」
 髪をかきあげながら苦笑して、青島は新たなキャンバスを出す。白い紙の上を、今度は青い色で塗りたくった。


***
青島くんはお姉ちゃんが死んだのにまだ自分が室井さん好きで、恋人になりたいと思ってて、そんな自分が許せないとか。
室井さんは(身内として)誰よりも青島くんを愛してます。彼をいつもかばうのは室井さん。江里子さんが死んだあとのショックから立ち直れたのは青島くんのおかげなので、室井さんは青島くんに何かしてやりたいと思ってる。
室井さんと江里子さんは学生時代からの付き合いで、秋田出身で家賃滞納(笑)のために家を追い出された室井さんを江里子さんが家に呼んで、3人で暮らしはじめたのが出会いのきっかけ。ちなみに室井さん18歳、青島くん12歳。その時、青島くんの才能を室井さんが開化させたと。で青島くんは惚れちゃうんだけどお姉ちゃんの恋人で〜って感じ。ちなみに青島くんは江里子さんとふたりきりで暮らしてました。親を早くに亡くして、ふたりで支えあってれば萌え。遺産はがっつり残ってます。というわけのわからない設定まで考えました。