自分の気に入っている喫茶店のカウンターに見慣れた茶色の髪。
一目で水野だと分かった自分に苦笑しながらも、さりげなく隣に腰掛けた。
「椎名、さん・・・?」
「偶然だね。俺もミルクティーで」
水野の手元をちらりと見ながらバイトの女の子に声をかけると、水野がじっと自分のほうを見つめていることに気づく。
「何?」
「あ、椎名さんって、甘党なんですか?」
「水野も甘党だろ?俺ら気が合うね」
そういって笑いかけると、水野は照れたようにカップの中のミルクティーを飲んで、蕩けるような笑顔をする。
それに目を奪われていると、目の前に甘い香りのするミルクティーが置かれた。
「ここのミルクティーはおいしいんだよね」
「ですよね。俺も、ここの、好きなんです」
好き、と言う言葉に一瞬胸が高鳴って、それを流すように甘いミルクティーを飲み干す。
「ねえ」
「はい?」
「・・・今度の選抜の帰り、一緒に帰らない?」
いい店知ってるんだ、と甘い誘いをすると、水野は嬉しそうに笑う。
わかってくれるかな、君なら?
一応、デートに誘ったつもりなんだけど。
当の水野は気づくはずもなく、幸せそうにミルクティーを飲んでいる。
まあ、当分はこれで我慢しようと小さく呟くと水野が怪訝な顔をしていた。